『革の宝石』と呼ばれるコードバンは、馬一頭からほんのわずかしか取れない希少な革です。馬の臀部の繊維の細かい部分を丹念に磨き上げることで、ガラスのように滑らかな光沢と吸い付くような肌触りが生まれます。また、耐久性にも優れ、使い込むことで風合いが熟し独特の表情に変わっていくため、多くの革好きを魅了している素材です。

そんな素材ですが、ビジネスバッグを制作するのにはかなりハードルが高い革です。
その理由はコードバンの下記のような特質からです。

1、革が小さい
2、革が硬く、伸びにくい
3、革漉きがしにくい
4、高価である・取り都合が悪い

今回、あるバイヤーからのたっての希望により、名工Nさんに数量限定で制作していただくことになりました。

photo02

 

そんな気難しい素材も、名工Nさんにかかれば写真のような見事な出来栄えの鞄に仕上がりました。

それはそれはうっとりするほどの光沢感と気品、高級感に溢れています♪

しかし、、、Nさんももう70代。夏の暑い時期から取り掛かっていただいていましたが、なかなか完成せず、製作期間は想定の2倍ほどかかっており、まだ予定の半分も納品できていません(-_-;)

得意先さんにもNさんにも申し訳ないことに、、、反省。

 

コードバンは一般的な革と製作工程が違います。

pageシェル

[1]馬の臀部の一部の分厚い箇所を切り取り、ピット槽でフルタンニン鞣しを施します。
この時は『メガネ』とよばれ、左右のお尻部分がついたままですが、中央部分は繊維質がコードバン層ではないため、半分にトリミングされ『シェル』と呼ばれるタイプになるそうです。
(従って革が小さい!がんばっても長辺で38cmぐらいの製品しかつくれません)

[2]鞣しあがった革を繊維質の細かいコードバン層まで表と裏から丹念に削りだしていきます。
(その為、削り出す採取方法が宝石採掘のようであるとして、『革の宝石』と呼ばれています。また、硬質な素材感から高い硬度を持った希少価値の高い宝石である『ダイヤモンド』に比喩されているそうです。)

[3]トリミング後、加脂、染色を施します。

[4]グレージング加工により銀先を平滑にし光沢を出します。

[5]本染め後、ワックスコーティング、ポリッシング加工によりさらに磨き光沢を出して完成!

丹念に磨き上げていくことで、極上のキメの細かさと、すべるような滑らかな肌触りやガラスのような光沢が生まれ、最高級と呼ぶにふさわしい革となります。また、この磨きのおかげで傷が付きにくいという特徴を持ちます。

メンテナンス方法
*光沢を保持するために、コードバン専用のメンテナンス剤をご使用ください。
*水に濡れたまま放置しておきますと水ぶくれ状の跡が残りますので、濡れたら速やかに拭き取ってください。

 

折り曲げgreen

コードバンの難点としては、繊維が細かく硬質のため、革漉きが難しく、名工Nさんでさえ腕利きの革漉き専門の業者に依頼しているほどです。革が薄く漉けないということは革の重なりが多いデザインは不向きですし、写真の底マチ箇所のように鋭角に曲げることが安易にできない革です。

ですので、お財布などの平面的な商品には向いている革ですが、決して鞄向きの革とは言えません。

しかし、丈夫なうえ、長く使い込むほどに独特の風合いが増し、手入れの仕方や環境によって唯一無二の色合いに変化していきます。この長所は鞄向きですね(^_^)v

コードバンは、馬一頭からほんのわずかしか取れない革ということで希少性が高い革ですが、しかし、いくら希少だからといって、手間がかかるからといって、500円/1dsオーバーは高すぎると感じているのは私だけでしょうか、、、?

*1ds=10cm×10cm

 

[商品価格] フラップビジネスバッグ 360×270×90 ¥480,000(税抜)
ダレスバッグ      380×280×110 ¥480,000(税抜)

[販売店舗] 伊勢丹メンズ館B1
三越日本橋店1F(10月より)

*写真の一部はBigin別冊付録より掲載させていただいています。

 

 デザイナーFoo